第3回「カメラ好きを中心に人気を博す写真家達」
一口に写真家といっても、みんな各々違う作風を持っている。したがって、これから写真を趣味にしようと考えている人が写真家の作品を鑑賞してみようと一念発起しても、どの人から手を着けて良いか分からず、とっつきづらいのではないだろうか。
そこで今回、カメラに造詣が深いカメラクラブさんにお勧めの2人の写真家を教えて頂いたので、作品とともに紹介する。
■ 蜷川実花のレビュー(永遠の花)
この方の作品を一目見て、最初に抱いた感想は「派手だなぁ」という一言だった。
写真自体は毒々しい極彩色の花が数本写されており、それぞれの花が自己を一番に主張したがっているかのように見える。
しかし、ここに蜷川さんのいかに色彩感覚が卓越しているということを読み取ることができるのではないだろうか。
妖艶ながらもキッチュな印象を受ける世界観にも関わらず、思わずクラクラとしてしまうような激しい色達が不思議と喧嘩していないのだ。
私はこの作品を見て、死ぬ間際に目にするであろう光景に咲いている花畑を思い浮かべた。
今自分が思っている、三途の川の彼岸に咲いている花というのはもっと温和で暖色を持った花々だけれど、この作品のような激しい色に溢れた光景だとしてもそれはそれで悪くない気がする。
たった一枚からは作品が何を啓蒙しているのかなんてほとんど分からなかい。しかし、蜷川さんは他にも沢山の著書を刊行している。
それらを読めば写真に込めた蜷川さんの人生観や死生観というものを読み取ることができるようになるのかもしれない。それもまた奥が深く面白いのではないだろうか。
蜷川実花さんは個人の写真集の他にも、AKB48の『ヘビーローテーション』のPV監督をしたり、『上からマリコ』のジャケット写真を担当したりと、今誰もが知るアイドルグループに関わる仕事をしており、一度は彼女の写真を見たことがあるはずだ。
興味が湧いた方は是非蜷川さんのその他の様々な作品にも触れてみることをお勧めする。
■ ホンマタカシ(NEW WAVES)
個性を前面にアピールするのがアーティストの在り方であると勝手な偏見を持っていたが、この方の作品はそれとは対極の位置にあるように私には思えた。
蜷川さんの作品を見る以前は、写真家が撮る写真とはノスタルジアさが感じられ、しっとりとしているようなものばかりを思い浮かべていたのだが、ホンマさんの作品は良い意味でそれが当てはまっているような感じだ。
この本にはページをめくってもめくっても載っているのは疎放で素っ気無い波ばかりだ。
ホンマさんは八年もの間この波を撮り続けたのだという。
次の写真を目にする度に全く違う顔を見せてくれる波に心が安らぎ、静かに癒される。波ばかりが写されているのにも関わらず、なぜか全く飽きがこない。
夕焼けと海と砂浜の色の組み合わせが絶妙で、カレンダーにして部屋に飾っておきたいくらいである。
ホンマさんは過去に広告会社に務めていて、雑誌や広告などでも広く活動の場を持っている写真家で、蜷川さん同様著書も出版している。
中でも『たのしい写真―よい子のための写真教室』は、写真を「撮る」教室ではなく、
「楽しむ」教室としての本であり、写真の歴史、変遷、色んなジャンルの人との対談など様々な角度から「写真」というものにアプローチをかけている。
これを読むことで、日常的風景の見方が変わり、写真の作品を見るのがさらに楽しくなるのではないだろうか。
文責:太田卓 企画:遠山祐基 協力:石井みなり














